【想い出】M浦君と大ウソ

こんにちは、こんばんは、コケガエルです。
平常運行、いつも通りのホロ酔いです。幸せだなぁ~

ふと想い出したので【80年代】ネタとして、高校生時代の友人『M浦君』について語ります。
友人というには、ごく短期間の付き合いでしたが、僕に一生涯忘れる事のできない想い出をくれました。元気かなぁ…どこで何をしているのか…。

 

無料のバスに揺られて

僕の住む町では、年に一度【はだか市(いち)】という即売会が催されていました。
地元や近隣の町の商店が集い、市営の大きな体育館を貸し切りで開催する、田舎としては大きなイベントでした。おもちゃ屋・雑貨屋・工具屋・蒲鉾屋・洋菓子屋などなど、あらゆる店が所狭しとひしめき合い、まるで縁日やフリーマーケットの様相を呈します。市民は例外なく(?)このはだか市が大好きで、開催される3日間は常に多くの客で溢れかえっておりました。

なぜ“例外なく”と断言できるのか?それは市内を網羅する【無料の送迎バス】が出るから。市営体育館を経由すれば、市内のどこへでもタダで行けちゃうスペシャルな3日間というわけです(ルートは決まっていましたけどね)。地元の人間は会場へ行くような顔をして、無料バスを乗りこなしていました。小学生などは、普段気軽には行くことのできない『ちょっと遠目の友人の家』へ、ここぞとばかりに足を運ぶのです。

そんな慣習(?)に従い、この時はゲーム友達S井の誘いで「同級生のM浦君の家へ行こう」という事になりました。普段ならば、こんな無茶な突撃訪問はしないのですが、もし不在でもバス代が無料なのだから気楽なものです。M浦君宅にはパソコン(FM-NEW7)と小さなビリヤード台があると聞き、僕は俄然乗り気でした。

僕はM浦君の顔と名前を辛うじて知っていた程度で、直接の面識はありません。いきなり家に上がり込むのもどうかと思いましたが、友人S井曰く「大丈夫」「優しい」「何をしても怒らない」との事。M浦君への多少ナメたニュアンスを感じ、僕は少し安心したりした。

学校で遠巻きに見ていたM浦君の印象は、クソが付くほどの真面目な感じです。頭髪は野球部員でもないのに坊主頭で、学生服は標準ストレート。愛想が良すぎてちょっと頭のネジが緩い雰囲気があり、肩には常時フケが載っていました。しかし、彼は人柄でそんなマイナスをゼロにしていたのです。愛され、いじられるキャラのようでした。

そして、真面目な外見の彼をユーモラスな存在にしていたのが、もの凄く【スケベ】という特性。それまで真面目過ぎた反動なのか、彼の身に何かが起こったのかは分からないが、とにかく何か急に目覚めたらしい。これから、そんな彼の家を訪問するのだから、ワクワクが止まりませんでした。

この頃は全国的にビリヤードが流行していた時期で、僕も友人と頻繁にプレイしに街に出かけておりました。M浦君宅へ向かう一番の目的はビリヤードでしたが、話題のエロ魔人がどんな【お宝】を所持しているのか…。実はそっちの方が気になっていたのは秘密です。

僕はS井と共に、市民でぎゅうぎゅうのバスに意気揚々と乗り込んだ。

 

十人十色

初めての訪問なので、家庭の様子が分からず多少緊張。
ピンポンを押すとジャージの上にドテラを羽織ったM君がドアを開けてくれました。彼は初めて会話する僕を、ニコやかに迎えてくれた。
家に上がるとどうでしょう。広い部屋に雑然と漫画の本やビリヤードテーブル、他にも娯楽アイテムが色々と床に転がっていました。そして寝室は別にあると言います。家は裕福そうで、M君は一人っ子(あれ?歳の離れた兄がいた気も…)。とにかく「親から大事にされているなー」という印象です。

S井から聞いた通り、すこし会話しただけで「怒らない優しい人」という事が分かりました。親からの愛情の賜物なのか、全く攻撃的な言動を想像できないキャラです。直ぐに打ち解けた(ような気がした)僕らは、早速3人でビリヤードを遊びはじめました。

…しかし、楽しみにしていたビリヤードは、台も玉もかなり小さく、玉のコントロールなんて無理であり無茶です。当時の月刊ジャンプの通販(裏表紙)より、多少マシなレベルと言えばなんとなく伝わるでしょうか?
ストレスが楽しさを易々と上回る、10分触ればもうお腹一杯という代物でした。残念。

ビリヤードを終えると、話題は自然と本命(?)の【お宝】へ。
「M浦君はどんなエロ本が好きなの~?」「どこに隠しているの~?」などと初対面とは思えない質問(詰問?)ができたのは、彼の人柄のせいでしょうか。これが逆の立場なら、露骨に嫌な顔をしているところですが、人間が大きい彼は、照れながらも机の引き出しを公開してくれました。さあ、心待ちにした瞬間です!

…「!」

…あれ?センスが…?年齢が高め???
河原や海岸で、雨ざらしになっているのをよく見かける“いわゆる”という感じの淫靡なエロ本が目につきます。
投稿写真…ではなく平凡パンチ。ペンギンクラブ…ではなくエロトピアという感じ(あくまで感じね)。セーラー服モノもあるが、明らかに10代じゃないと分かるモデルばかり…。

???(年上が好みなのか、エロければ年齢などどうでもよいのか…?エロ本の調達先にこの手のジャンルしかないのか…?これで満足しているのか、我慢しているのか…?)
僕は自分とは大きく違う感性にかなり困惑した。

M浦君はかなりの老け顔だったが、まさかエロ本の好みまで老けていたとは…。
人の数だけ考えや好みが違うとはいえ、何故に16歳の男子高校生がオバサンの裸を求めるのか…。この時、人の多様性とその複雑さについて考えさせられました。

まさか、他人のオカズを覗きに突撃して、あんな気持ちになるとは…
ヨネスケはどれほどの修羅場を越えてきたのでしょうか。

 

エクストリームすぎるウソ

さて…もう用は無いとそろそろいい時間だし、失礼しようかという時だった。
S井が「まだ何か隠しているんじゃないの?」と勝手に学習机の引き出しに手をかけた。
(ガラリ)







FM-7ミュージアム様より引用 (http://fm-7.com/museum/softhouse/koei/140000900.html)


S井、僕は?

衝撃だった。当時のパソコン雑誌で、とても馴染みのあるパッケージが飛び出した。
【光栄】(現コーエーテクモゲームス)発売の『ナイトライフ』です。

 

ここまで読んだ方には無粋な説明だとは思いますが、排卵日計算や、質問に答えるとその日の体位を提案してくれるという実用ソフト完全にパートナーがいる人向けのソフトです。
パッケージこそ裸ですが、エッチなソフトではありません。

 

S井「これM君に必要ないでしょ?(笑)

僕「なんでコレ買っちゃったの…?(困惑)」

M君ナイトライダーのゲームかと思って

S井、僕ウソつけ!!!!!

 

初対面でしたが、かなり強めにツッコんでしまいました。

僕はもう中年ですが、後にも先にもこれほど苦しくダイナミックな嘘を聞いたことがありません。確かにタイトル7文字中の頭5文字は共通。しかし、この車感ゼロのパッケージで、どこに間違う要素があるのでしょうか????

大人になった今、もう一度会って訊いてみたいが、それは意地悪というものだろうか…。

後日談ですが、溜まったエロ本の処理に困った僕は、M浦君に買取を持ちかけました。
不要になったエロ本なんぞタダでくれてやれば良いのですが、「コケガエルから貰った」と僕の性的嗜好をバラまかれては敵わないので、秘密を共有するという意味で、1冊100円で売ったのです。ナイトライフ事件から半年以上経過した、夏の夕暮れでした。
夕焼けに染まった学生服の彼が、重そうに…しかし嬉しそうにカバンを抱えて去る姿は、未だに目に焼き付いています。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

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