初めてのX68000(その2)

こんにちは、こんばんは、コケガエルです。

今回は【初めてのX68000】の第2回、電源修理編です。

前回、読者様の【おひ☆さん】より譲っていただいたX68000(以下X68k)が、電源が入らないというところで終わりました。

初めてのX68000(その1)
こんにちは、こんばんは、コケガエルです。 僕の人生に、こんな日が来るとは思いませんでした。 何がって? 記事タイト...

今回はその続きで、電源修理完了までをお送りします。どうぞお付き合いください。

あ、修理方法の情報が欲しくてこちらに来たのなら、当方ド素人につきハズレです(笑)

 

部品をどうするか?

X68kは今も熱心ファンが多く存在するレトロPCの王様です。「X68000 修理」で検索すると、沢山の情報を見つけることができます。ありがたいし流石ですね。

特に『電源』に関する情報は豊富で、X68kのトラブルの大半は電源のようです。現在も元気に動いているX68kは、何らかの修理や改造を施されていると考えてよさそうです。

これには理由がありまして、X68kの電源には「4級塩電解コンデンサ」を使用しているそうで、これが耐性が弱く経年でほぼ100%液漏れするという困った物だったそうな。
もちろん、わざとでもケチった訳でもありません。当時はまだ出始めで『高性能』と謳われていた電解コンデンサだったそうで。長い時が経って初めてその問題が判明したという訳です。
シャープを恨んではいけません、この電解コンデンサの製造元が悪いのです^^;

 

さて、我が元に来たX68k、EXPERTの情報を調べると…あります。沢山でてきます。

ふむふむ。

どうやら、北海道の田舎に住む僕には、部品を揃えるのは大変そうー。通販で揃えるにしても4店以上の店から買う事になりそうです。
送料だけでも2000円以上は確実にかかるし、店によっては送料の方が高くつきそう‥‥
それでも全部が揃うかどうか‥うーん、困った。

しかし、色々と調べていると、電源修理を請け負うホームページを発見!
さらに、ヤフオクでも【修理】を出品している方も複数人おられました。へー

X68kは、メーカーではとうの昔にサポートを終えたパソコンです。それが不良を乗り越え、今だに愛される秘密を知った気がします。
Twitterを見るとX68kを愛する集まりもあるようで、そこでメンテナンスに関する情報交換も行われているようです。そういった方達のおかげもあって、いまだ現役で動く機体の数が多いんでしょうね。

さて、その辺の事情が多少分かったところで、自分はどうしよう?
A:『自分で修理』メリット/安い・楽しい デメリット/再起不能の可能性あり
B:『プロに依頼』メリット/早い・確実! デメリット/ちょっとだけお高め

‥‥‥どう考えてもBかな?これは^^;

先日、X68k用のモニタが故障して困った時は、Twitter上で親切な方達が優しく修理まで導いてくれました。今回も「助けて―」と呟けば、修理方法に関してはサポートしてもらえそうです。けどなー方法が分かっても、修理は自分の腕だからなー‥^^;(Bだよなぁ

交換する部品のリストを見ると不安になる数です(90個ほど)。交換自体はさほど難しいものではありませんが、交換したあと正常動作するかが不安です。
素人ですから、部品数に比例して何かポカをやらかしますからね。(やはりBだな

はっきりと決められないまま、Twitterで「不動品のX68kを手に入れた。自分で修理するかプロに頼むか思案中~」的な事を呟いたら、あっという間に沢山の反応が返ってきました。

「せっかく手にいれたのだから無理はしないで」というリプライに心は完全にBに。
「そうですね今回はプロに依頼しようかな」と返信すると、別の方が「専門で修理している者ですが、部品ひと揃え送りましょうか?」と嬉しいお申し出。しかも「途中リタイヤしても面倒見ますよ^^」と、何とも心強いお言葉をいただき、勇気100倍です。(はい、Aに決定!

ここまでお膳立てしてもらって立たなきゃ男じゃありません!
X68k修理の専門家である「かおる」さんのお世話になる事にしました。ありがたいなぁ

リプライして下さった皆さんが親切なのは間違いありませんが、ファン特有の「X68kの事だからほっとけない」って感情が働いていることが伝わってきます。優しい世界です#^^#

 

やり取り当日の8/30に振り込みを済ませ、9/5数に部品が到着しました。
その日は作業スペースの整理と道具の確認。さあ明日から取り掛かろう!と意気込みます。

そして翌日の9/6早朝、北海道胆振東部地震により北海道全域が停電!!

なんてぇタイミングだ…そんな場合じゃなくなっちゃいましたよ。
復旧するまで、半田ゴテどころかトイレの電気も点かないのですから(泣)

その時の停電の様子は記事にしましたので、もしよければ↓↓

【雑記】北海道胆振東部地震から1週間
こんにちは、こんばんは、コケガエルです。 まずはじめに「平成30年北海道胆振東部地震」で被災され、いまも不自由な生活を...

 

停電は翌日(9/7)の21時頃に復旧しましたが、その日はTwitterでDMをくれた方に無事を報告したり、タイムラインを追う事で終わってしまいました。
修理を開始したのは9/8の午後からでしたー。

修理開始!

さあ、停電も復旧し作業開始です!

届いた荷物は、小さな袋に小分けされた部品が十数袋。各袋には部品Noのリストがが貼ってあります。凄い!何て丁寧で細やかな心遣い。僕のような素人にはありがたいです。

まずは基板に乗っている部品と、送っていただいた部品を照合・把握するために、作業をイメージしながら基板との「にらめっこ」です。素人なので、作業終了までを頭に描けていないと不安で作業が進まないんです^^;
慣れた方ならサッサと勧められるのでしょうけども、僕はムリ。

これが分解直後の何も交換する前の状態の表↓。色々と焼損しススけております。

裏↓。漏れ出した電解液でパターンが腐食。左下の個所はコートがボコボコと浮いています。

どこの電源修理の紹介を見ても、やはりこの同じ部分がダメージ大きいんですよね~。
「取りあえず、それは気にせずに」とアドバイスを頂いたので、そのまま作業を進めます。

まずは部品No一覧にある部品は基板から全て外し、無水アルコールで基盤を洗浄。歯ブラシで汚れを擦り落とし、キムワイプで汚れとアルコールをふき取っていきます。

いい感じです。この日はここで作業終了。
パラシェルターを作った時もそうでしたが、仕事を含め日常でこんなに集中できることは無いんですよね。「気がついたらもうこんな時間!?」って感じで楽しくてたまりません。
心地いい満足感に浸りながら、明日の作業を考えつつ眠りにつきます。
自分にはもっとこういう時間が必要だと思いました。

 

交換部品を半田付け

いつもの時間に起床し、まずは愛犬の散歩。
それが終われば、もうフリーダム!日曜ですしね。早速作業にかかります。

綺麗になったら基板にシルク印刷された番号をもとに、部品を半田付けしていきます。
抵抗をテスターで数値を確認しながら、そして電解コンデンサー・ダイオードの向きを間違えないようにしながら、とにかくミスが無いよう集中します。
極性を間違えると壊しちゃいますからね。すぐに替えの部品を調達できるなら良いのですが、そうじゃないから緊張感を持って臨みます。発注する手間が惜しいのもそうですが、何より部品が届くまでの時間が惜しいですからね。あ、送料も惜しい(笑)

黙々と半田づけすること数時間、交換が必要な部品は全て取り換え終えました。

パターンが腐食していた個所も、断線はしていないようで一安心(テスタで確認)

再度、極性の間違いが無いかを確認し、いよいよ動作チェックです。
コンセントを刺し、恐るおそる電源オン(指はスイッチに置いたまま)



とりあえず、異臭も異音もないようです。(ほっ)

さて、テスタで電圧を測ります。

いよーし!良し!正常に5V出ています。
続いて12V、-12Vも正常!万歳!これでX68kの復活だー!

と、行きたいのですが、完全に終わってる電池の交換と、フロッピーのドライブのメンテナンス(グリスアップ)をしないと、起動させられません。

電池をどうせかえるなら『ソケット化』したほうが今後の為には良さそうです。
元は半田で直付けされているんですよね。電池は10年もつので、交換は考えられていなかったのでしょうかね?通常10年も同じパソコンは使いませんから^^;

 

そしてフロッピードライブをメンテナンスする『グリス』。
ネットで色々と調べると『Super Lube/多目的グリス』が良さそうです。それに決めました。

Amazonで電池ソケットとグリスを早速注文。早く届けとワクワクしていましたが、それが届かないのなんのって…ええ、地震・停電の影響です。
流通が麻痺していましたからね。2つが揃ったのは9/18でした。

はい。届いてしまえば、作業は一瞬です。

 

電池はあらかじめ取り外していたし、ドライブも清掃済みなところにグリスを塗布しただけ。

さあ、組み上げたらいよいよ初起動です!

 

初起動!‥‥あれ?

はやる気持ちを抑えつつ、バラした手順を逆に戻って組み上げます。
さあ、目覚めるのだ!X68kよ!(この時100%無事に起動すると思っている)
ポチっとな。(電源オン)


あれ!?画面にゴミが‥‥(すみません、写真無し)
ゴミといってもブラウン管にゴミが付いているわけではありません。
この場合のゴミは、ビデオRAMに異常がある場合に表示されるものです。
格子状に画面全体に乗っています‥。

なんだろうー?X68kは初めて触るので大混乱です。
電池も変えたし、とりあえずSRAMクリアしてみます。

えーと、何々?『CLR』押しながら電源ON?(ポチ)



画面の同期まで取れなくなってしまいました^^;

ひゃーお手上げです。

変な事しちゃったかと慌てましたが、EXPERTは『CLR+電源』は関係無いようでした(XVI以降)。純粋にビデオ回路周辺が限界だったということでしょうか?

あと、画面のゴミ。X68000は一般で言うところのテキストグラフィックは持っておらず、ビットマッププレーンに文字を表示しているのだそう(当時では珍しいと思います。マッキントッシュと同じコンセプトかな?)。なので素人の僕にはグラフィックのVRAMが悪いのか、テキスト周辺が悪いのかもさっぱり見当がつきません^^;

お手上げなので、かおるさんに報告・相談しました。
すると、かおるさんはどこの馬の骨かも分からない僕に「EXPERTのメインボードを持っているので、テストしてみますか?」とメインボードを貸して下さる事を提案。
こういう時は、トラブルがトラブルを呼びますからね。『お借りしたメインボードまで破壊してしまう』と直感した僕は、かおるさんにX68kを送り診てもらえないか相談。かおるさんは二つ返事で了承してくださいました。

ここまで来たら、本当は自分の手で修理したかったんですけどね。VRAMは手に入りにくいし、そこを替えたからといって100%直るわけではありません。他に原因があっての事なら、直ぐにまたVRAMを破壊してしまいます。
その都度誰かに相談しても、迷惑をかけちゃいますしね。ここは一度プロに全体を診てもらった方が、今後の安心と現状の把握には最善と判断した訳でございます。

そう決まったのが20時半。某運送会社の窓口が21時まで。まだ間に合う!
と、いう事で速攻で梱包して、窓口に駆け込みました。これが9/21の事です。

修理できる程度の故障か、もう一台ジャンクを購入してニコイチするかは、かおるさんの報告を待たねば分かりません。修理できるといいな~

かおるさん、我が元にきてまだ目も開いていない子ですが、どうぞ宜しくお願いします。
(現在9/28)

 

【初めてのX68000】の第2回、電源修理編はこれでおしまいで、次回に続きます。
さて、僕のEXPERTは元気に復活できるでしょうかー?。今までに100台近く修理をしてきたかおるさんでも、VRAMの故障は2台だけだったそうです^^;

進展があれば、すぐに続きを書きたいと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

↓↓↓続き書きました。ラストです

初めてのX68000(その3)完
こんにちは、こんばんは、コケガエルです。 今回は【初めてのX68000】の第3回、入退院編。ラストです。 前回は、X...