【VIVO】自販機型アーケード筐体

ええ、ちょっと酔ってますよ。ハイボールは美味いですね。
ウィスキーに炭酸とレモン。コスパも最高だし、中年には気になる糖質・プリン体もほぼゼロです。その上、味も最高ときたもんだ。2年ほど前まで晩酌はビールだったのですが、もう戻れませんやね。

昭和の昔、『ビーボより美味いのはビーボだけ!』なんて名(迷?)コピーがありましたが、ハイボールの前には、さしものビーボも裸足で逃げ出しますよ。へへんだ。

え?ビーボが何かわからない?
…じゃあ、メローイエロー・マウンテンデューと、人気を3分した(個人的に)“ザ・ヴィレ・カリフォルニア”もご存じない?…ちょ…まじか……
はい。ちょっとココに座ってもらおうかな。

ちがーう!正座で!!!

 

はい。こんな感じで始まりましたが、今回は、そんなビーボ【VIVO】に関するお話です。
僕のような中年には耳馴染みがあると思いますが、…誰トクなんだろう…大丈夫かな?(笑)

ビーボ。正式な名称はビーボ・フーズ株式会社。自販機中心の清涼飲料水メーカーとして、昭和にブイブイ言わせてた会社です。1989年以降社名を何度も変えながら、悪化した業績を立て直そうとしますが叶いません。1998年にコカ・コーラグループに自販機運営部門の営業権を譲渡し、事実上の消滅をむかえました。南無南無。

僕が子供の頃は、ビーボの自販機は割とよく見かけ、べつに珍しい存在ということもありません。購入すると歌が流れる自販機が楽しくて、まんまと硬貨を投入しておりました。
そのビーボですが、実はゲーム筐体を展開していた時期があったのです。知っていました?知っていたあなたは、かなりのおっさゲーム通、またはビーボ通ですね。

今から、その筐体について語っていきますが、その存在はかなり希少なものだったようで、いまネットを駆使しても、ごく限られた情報しか見つけることが出来ません。しかし、少ない情報とはいえ、僕の記憶違い・幻覚・はたまた異世界に迷い込んだ説を否定するには十分です。
もう幼少の自分の正気を疑がわなくて済むことを嬉しく思うのと同時に、この経験をゲームを愛する皆さまと共有すべく、キーを叩いてまいります。

 

ほろ酔いなので、おかしな調子になりそうですが、お付き合いくださいまし。

 

ワクワクがとまらない

ビーボ製の謎のアーケード筐体に出会ったのは1982年頃、僕が小6の時です。
近所のクソガキ6人ほどで、缶ケリに興じていた時の事でした。何月だったかはハッキリとは覚えていませんが、陽も長く夏休み前だったので、多分7月くらいの出来事と推測。

近所の病院の横に、2台の自販機(ビーボ、ロッテ)があり、いつも体は汗ダク喉はカラカラで遊ぶ僕らを潤してくれる心強いヤツでした。この日も、暑い中で必死に缶を死守するオニの存在など気にもとめず、隠れている連中は当然のように自販機の前に終結します。すると丁度そこに新たに2台の自販機が運ばれてきたのです。

1台目はポップコーンの自販機でした。
珍しいのは確かですが、心は1mmも動きません。喉がカラッカラなのですから嫌悪感すら覚えます。ここがロスのダウンタウンなら、作業員はボコボコですね。

続いて、謎の筐体。(まだゲーム機とは気づいていません)
「あれ?………テレビ画面が付いてる??自分の股間よりも見慣れたレバーが!!!」この場にいる皆が色めき立ちます。コントロールレバーの存在に、ゲーム筐体ということを理解した僕らのテンションは、一時のガンホー(GungHo)の株価のように急上昇です。

 

最初は、ホントにただの自販機だと思っていたんです。それまでゲーム筐体といえば、定番のテーブル筐体か、アメリカ―ンなアップライト筐体、駄菓子屋筐体といわれるミニアップライト筐体しか知りませんから。きっとサイズも当時の自販機の規格サイズだと思うんですよね。幅はともかく高さが隣の自販機と同じでしたから。
僕らは期待に胸を膨らませながら、設置作業が終わるのを待ちます。まるでリードを持つ飼い主に気付いた子犬のように落ち着きません。ワクワク。

 

そして、ほどなく作業終了。
いよいよ未知のゲーム筐体とのファーストコンタクトです。

 

100円の価値…?

画面に表示されているゲームはジャンプバグ(1981/SEGA)です。インストカードが複数セットされていたので切り替えボタンをポチ。すると瞬時に別のゲームに切り替わりました。
アストロファイター(1979/DATA EAST)ってヲイ!何年前のゲームだよ!!
さらにポチ。…見た事もないロボットのシューティングでした。ぐええ。(ゲーム画面はハッキリと覚えているのですが、残念ながらゲームタイトルを思い出せません。無念)

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遊べるゲームは全部で3つ。ちょっとイマイチ…どころかイマサンですよ。ジャンプバグはともかく、1982年にアストロファイターに100円入れる奴ぁいません。ロボットのゲームも…アストロファイターよりは新しいようですが、正直パッとしません…。

ジャンプバグは良いゲームで大好きでしたが、街に出れば50円で遊べますからね。どれも100円の価値はありませんでした。ガッカリです。あーあ。一時のブロッコリーの株価のようにテンションの下がった僕は、家に帰りモソモソと夕食をとりました。あーあ。

 

闇夜に輝くあの光は…?

貴重な小遣いを使うには残念なラインナップのゲーム機に何の価値があろうか。しばらくは嫌悪の対象であったこの自販機型のゲーム筐体、正式には『ゲーム・アメリカン』というそうです。僕もこの記事を書くにあたり、調べる中で初めて知りました。

ゲーム・アメリカンに何の興味も持てないまま、少し時が過ぎます。たしか夏休み中だったと思うのですが、ある蒸し暑い夜にどうしてもアイスが食べたくなり、小銭をもって自販機に向かいます。するとどうでしょう、闇の中でゲーム画面が輝いているではありませんか。なんと美しい…。僕は光に集まる蛾のように、ゲーム・アメリカンに吸い寄せられます。
そしてジャンプバグをプレイ。あれ?楽しいぞ?…いつもは50円でプレイできるジャンプバグなのに、なんでこんなに楽しいの!?
それは『シンと静まった住宅地のド真ん中、夜の闇に小学生が1人、学校で禁止されているアーケードゲームをプレイしている』からでしょうか?その圧倒的な非日常感に、僕は奇妙な興奮と大きな満足感を覚えます。

もし、透明人間になれたら…女湯に行きますよね?
もし、時を止めることができたら…まず女湯へ行くでしょう。
もし、女の子に変身で来たら…絶対に女湯に行くに決まってます!

少年の頃、誰もが一度は妄想することですが、
ゲーム・アメリカンも、そういうことです。

もし、小学生が夜に出歩いても怒られず、ゲームセンターに行っても良かったら…
これもゲーム少年なら、1度や2度は妄想することです。
ゲーム・アメリカンはそれらを同時に、しかも僕の家の側で実現させてくれたのです!
(注:警察に見つかれば普通に怒られます)

 

最高でしょう。ゲーム・アメリカン。

 

何でも入ります(硬貨に限る)

第一印象はどこへやら、すっかり気に入ってしまったゲーム・アメリカン。ある時ふと「自販機っぽいから10円玉とか入るのかな?」と興味が湧き、ポケットの10円を入れると…入った!マジか!!!!衝撃です。アーケードでは考えられませんよね。ゲーム機のコインシューターは、設定された1種類の硬貨しか通しません。しかしこのゲーム・アメリカンは、さすが自販機のビーボ製、通常の自販機が使えるすべての硬貨が使用可能でした。10円玉5コと50円玉1コで、1クレジットですよ(笑)。この辺はゲーム機にはマネできませんよね。すごい。

それが分かってからというもの、ソファの隙間やタンスの引き出しなど、家じゅうの小銭を漁ってはゲーム・アメリカンにつぎ込む始末。朝もやの中、夕日に背を照らされながら、小雨の降る中など…時を選ばず、あらゆるシチュエーションで楽しみました。もう野外プレイのエキスパートです。初めのうちは恥ずかしかった昼間の野外プレイも、程なく羞恥が快感に変化してきました。ええ。もちろんゲームの話ですよ?

ただ、シチュエーションが刺激的なのも最初だけでしたね…
さすがにこのラインナップでは限界があります。

悲しいなぁ…

夏休みが終わるころには、すっかりプレイすることもなくなり、通学時に画面を覘くだけとなりました。水平よりやや前傾にデザインされたコンパネは土埃で汚れ、だれもプレイしていないことを物語っています。次第にその存在を意識することも無くなり、雪がチラつきだした頃、ひっそりとその姿を消しておりました…。
楽しく遊んだ夏の夜の事も忘れられませんが、晩秋の冷たい雨の中をたたずむ物悲しい姿が忘れられません。

短い期間でしたが、インカムのほとんどが僕のお金だったと思います。自分以外の誰かが遊ぶのを、仲間内以外では一度も見たことがありませんから。仲間が遊んだのも、多分ほんの数度です。気の毒ですが、これじゃあ撤去は避けられませんよね。僕のような変人が20人もいれば、撤去は避けられたのかもしれません。けど、遊び続ける魅力も意味もありませんでしたから、これは必然です。プレイヤーを馬鹿にしたような古いタイトル。それを交換することもなく放置。設置費用を抑えたかった事情は理解できますが、古いタイトルでも遊んでくれるのは温泉旅館だけです。

全国でどれほどの台数が出回ったかは分かりませんが、筐体の製造と基盤の購入、オペレーションの経費と、かなりの費用がかかったと推測します。もしゲーム事業で会社が傾いたのなら自業自得というか因果応報というか…。
「インベーダ以後、低迷していたゲーム業界の余剰ソフトを、地方各地に普及させることで、多くの人に楽しんでもらえるよう開発された物ではなかったか」というような情報もネットで目にしました。しかし意地悪く言えば「ダブついてゴミ同然になったソフトを再利用して、価値のわからない田舎者相手に商売しよう」って事ですよね。ビーボなりに儲かる試算があったのかもしれませんが、ゲーム業界もプレイヤーも、そんなに甘くはなかったという事です。
ゲーム・アメリカンが事業的に大失敗したという事実は、普及と知名度が証明した形ですね。

しかし、一時とはいえ個人的にはすごく楽しく遊べ、良い思い出だけに残念な結果です。
ゲームセンターに依存しない事業展開だけを見れば、SNKのMVSやカプコンのミニキュートのお兄さん的な感じがしますね。

 

最後に…

なんだか残念で、悲しくて、つい厳しい口調になってしまいました。ごめんなさい。でも、これもビーボゲーム・アメリカン好きだったからです。本当に。

ゲーム・アメリカンは、1プレイに1枚、世界各国の国旗のシールが貼られたコインがもらえました。ハッキリとは覚えていませんが、釣銭口から出るんだったかなー…?。最初はそんな事もわからなかったので、きっと釣銭口に何枚も溜まっていたと思います。
高校を卒業し、地元を離れる迄は、沢山のVIVOコインを学習机の引き出しに保管してたのですが、ある時帰省すると学習机ごと無くなっておりました。非常に残念です…。

なんと、1枚だけ発掘しました!これ、かなりのレアじゃないですか?うれしー♪

 

どうでしょう。懐かしんでいただけましたか?

全国には「僕の小6の夏休みといえばゲーム・アメリカン!」
…そうハッキリと言える人が、僕以外にもいると信じています。

 

…けど、それはそれで悲しい夏休みだなぁ(笑)

そんな悲しい人、ビーボに特別な思い入れがある人、ぜひコメントお願いします^^

 

今年の夏はスプラトゥーン2ですね^^

コメント

  1. あち より:

    コイン持ってるとは・・・・
    お宝ですなぁ~w

    • コケガエル より:

      期待せずに探してみたら、発見してびっくり。
      1コだけでしたが「うおおおおお」ってなりました(笑)
      ブログ始めなきゃ探すことも無かったでしょうね。嬉しいです^^