【想い出語り】パソコン教室とバックアップツール

こんにちは、こんばんは、コケガエルです。

今回は『バックアップツール』と、それにまつわる想い出語りをしたいなーと思ってモニタの前に座っております。
僕がバックアップツールと聞けば、必ずセットで思い出されるのが中学2年生の頃に通いだしたパソコン教室です。高校3年生くらいまで通いました。

半分はすごく良い思い出。もう半分は・・・ショボーンって感じです。

40代も後半になった今でも、思い出すとちょっとだけ悲しくなります。
高校卒業時は、パソコン教室に通っていた時間の全てが、無意味に思えるほどでした。自分がしっかりしていれば、あんな思いをせずに済んだという後悔をずっと引きずっています。

ま、オッサンになった今となっては『沢山の苦い想い出の中の一つ』程度の事ですけどね。
あまり楽しい話ではありませんが、もしよければお付き合いください。

 

コズミックランド(仮名)

コズミックランドはBASIC言語を教えてくれるパソコン教室。
月・木、または火・金の週2回。僕は火・金グループだったかな?どちらのグループも各3名、全員で6名の『街の小さなパソコン教室』でした。

講師はI先生。
パソコン教室を営みながら、地元の大きなスーパーマーケットの会計プログラムなどを担当されていました。収入のメインはこちらだったと思います。いつもドットインパクトプリンターが『ミ゙ミ゙ッミ゙ミ゙ミ゙ー』と、けたたましく動作していました。

授業の内容は、I先生から「こういうプログラムを作りましょう」と課題が与えられ、各々が自分の発想でプログラムを組んでいきます。分からないところは、そのつど質問。そして全員がプログラムを完成させると、先生が模範のプログラムを披露するというのが、基本の流れでした。(TV番組のプレバトみたいですね)

I先生は課題を伝え、10分程度で模範プログラムを組み上げると「質問があったら声をかけてね」と別室のPCで本業に集中されておりました。僕らは仕事の邪魔をしないように与えられた課題を静かに進めます。
楽しかったですねー‥集中力皆無の僕が、この時間だけは黙々とキーを打ち進めました。

何が楽しいって、同じ目的でも“人の数だけプログラムがある事”に面白みを覚えました。
全員がプログラムを完成させると、お互いに実行結果とプログラムを見せ合うのですが、これがたまらなく面白く楽しかった。まるで解法が幾通りもあるパズルゲームで、皆‥といっても3人ですが、「自分の考えた解法を見てくれ!」という感じで披露しあうのです。

短く・綺麗なプログラムを書くと、I先生が褒めてくれるのですが、それが嬉しくて‥。
(といっても、そーんなに高度な事は出来ないんですけどね^^;)

そして最後は、I先生の模範プログラムを皆で見ながら解説に集中します。
毎回「ほえー‥なるほどー‥はぁー‥」とため息しかでません。10分程度で組まれたI先生のプログラムは、それはそれはエレガントで、行数はいつも僕の半分以下でした。
カッコよかったですねー。

そんな感じで割と真面目に取り組んでいたのですが、ある日あのマシンが導入され、この状況は徐々に崩れて行くことになります‥

 

PC-8801mkIISR

ある日、先生に「コケ君ちょっと」と手招きされます。
その日はたまたま生徒が僕しかおらず、授業にならないので遊ばさせてくれることに。I先生の仕事スペースに行くと、そこには初めて見るPC-8801mkIISR(以下88SR)がありました。

そして(憧れの)フロッピーディスクをセットし、起動したのはゲームアーツの名作『テグザー』です。まず驚いたのはFM音源、そしてゲームをスタートすると滑らかなスクロール、そしてロボ、ビーム、すべてが衝撃でした!(SRの前のPC-8801mkIIはビープ音のみ^^;)

そんな素敵なモノを見せられたのだからもう大変!この日を境に授業に身が入らなくなります。教室が終わった後のゲームが楽しみになってしまったのです^^;

当初は、「教室が終わった後なら遊んでよい」だったのが「課題が済んだ人から遊んでよい」に変わり、最後は「今日は遊んでよい日にしよう」(たまにね)と、なってゆきました。

当時は「先生優しい~」という感じでしたが‥違いますよね?
今ならば分かります「手抜き」であり「月謝泥棒だと」(人聞きが悪いw)。生徒を勝手に遊ばせて、自分は仕事に集中できるんですもの、そんな楽な事はありません。

我が子にタブレットを与えて、おバカが一人完成しつつあるので、よく分かります。
学習塾ではないので、成績がアップしたなどの実績を親にアピールしなくても良いのですから、I先生も生徒もやり放題です(笑)

この頃には、生徒用の88SRが生徒の教室に設置され、I先生は仕事用にもう一台88SRを購入していました。ムスカのように「馬鹿どもには良い目くらましだ」と思っていた事でしょう。

そして、パソコン教室は次第に『ゲームサークル』の様相を呈してゆきます。

 

引っ越しとゲーム会員

高校入学と同時位に、コズミックランドが移転。これまでよりも、広く綺麗なところに引っ越しました。高校の近くだったので火・金以外にも気軽に立ち寄れるようになりました(迷惑)

しばらく経ったある時、唐突にI先生から30本ほどのゲームリストを渡されます。

I「これからパソコン教室の他に、ゲームクラブ的なものを作ります」
僕「それは、何をするクラブなんですか?」
I「月500円でリストのどれでもコピーできるクラブ。毎月10本くらい増える予定」
僕「え!?そんなの大丈夫なんですか?」
I「会費で新作を仕入れて、会員で共有するだけだから大丈夫。営利目的じゃないから」
僕「????」
I「会員が増えたら、それだけ仕入れるゲームを増やせるよ。会員にならない?」
僕「宜しくおねがいします」
I「本格的なスタートは1か月後ね」

という感じで、後ろ暗いものを感じつつも簡単に会員になってしまいました。
「尊敬する先生がおっしゃるのだから大丈夫」と思いましたが、単純に欲望に負けてます。
高1の夏休み明けに88FRを手に入れたものですから、それも後押しになってます^^;

そして教室にあった88SRに、あのバックアップツールが装備されました。

 

アインシュタイン

いまこれを読んでいる方なら『バックアップツール』はご存じですよね?
そう、少ない小遣いで購入した大事なゲームを【不慮の事故】から守るというアレです。

5インチフロッピーなんぞ、ママに踏まれたりミリンダをこぼしてしまうだけで、簡単にイカレてしまいますからね。大事なゲームが危険にさらされていないかを考えると、学校でもオチオチ寝ていられませんでした。

そんな不安を完全に解消してくれるのがバックアップツールです。
バックアップツールは、全国の心配屋さんに絶大な支持を受け、沢山のオリジナルディスクを救いました。ありがとうバックアップツール、凄いぞバックアップツール。

‥‥えーと、バックアップは長いので以下『コピー』とします(笑)

前に【PC-8801mkIIFR】の記事でもちょろっと書きましたが、コピーツールは個々のゲームタイトルに専用のパラメータ(ファイラー)を使うタイプと、PCに専用の拡張ボードを搭載しハード(+ソフト)的にコピーするタイプがありました。

ファイラーの利点は、高価なハードを買う必要が無いこと。欠点は新作ゲームはファイラーが出るまでコピーができないこと。なので、ひと月ほど待たないとコピーできませんでした。
有名どころは『FileMaster88』『WIZARD88』『RAts&Star』『Newtype88』など。

ハードタイプの利点は、ファイラーが必要なく、新作でもすぐにコピーできたこと。欠点は高価なことくらいでしょうか。これはほぼ『アインシュタイン』のみでした。(同じハードが違う名前で、別会社からも発売されていた記憶もあります)

その最強(凶?)コピーツール『アインシュタイン』が満を持して(?)コズミックランドにやってきました。さらに沢山のコピーされたゲームと一緒に。

I先生曰く「京都にアインシュタインを使って、ゲームを定価の1/10で売っているところがある」「ウチは会員を募って、会費でそのゲームを購入する」「会費が8000円集まれば大体10本のゲームが購入できる計算」「現在会員は20名、まだまだ増えそう」「営利目的ではないから大丈夫。逮捕はされないし、注意されたら止める」との事。

正直『悪い事』だと思いました。けど、頭の良いI先生の口から、自信満々に「大丈夫」と言うのを聞くと「う、うん」となってしまいましたねー、自分は子供(?)だったし。

僕は、法律的にもそうですが倫理的な心配もありました。狭い町です。「あそこのパソコン教室、何か悪いことやってるらしいよ?」なんて噂が立てば、簡単に廃業してしまいます。そうなると、僕の大好きなこの場が無くなってしまう‥。僕は、先生が逮捕される心配というよりは、パソコン教室が無くなる心配をしたのです。けど先生の「大丈夫」は完全に『逮捕は免れる』って意味のニュアンスしか無かったと思います。

何故いい大人がこんな事をしたかと言えば、やはり理由があります。
会員とコピーの仕組みでは利益は発生しませんが、先生はコピーするための『ディスケット(生ディスク)』を販売していたのです。
後にコピー需要の為でしょうか?ノーブランドのディスケットが1枚10円(最終的には5円)まで値を下げますが、この頃はFUJI FILMや3Mのブランドディスクは1枚数百円していました。
コズミックランドは会員に、一箱(10枚)数千円のディスケットを売っていたのです。
「パソコン教室でディスケットを売って何が悪い」という言い訳も立ちますからね。これが狙いであり、利益を生んでいた事は想像に難しくありません。

遊ばなくなったディスクに【上書き】をする分には嫌な顔はされませんでしたが、他所で安く買ったディスクを使用してコピーすると、「ええ~?」とジョークっぽくイヤな顔をしていました。本心は舌打ちモンだったと今は思います。

こいう事は噂が広がるのが早いです。「あそこに行けばガンガンコピーできる」と、アッという間に会員は増え、毎月増えて行くタイトルも比例して増えてゆきました。大盛況です。

それに伴いアインシュタインも『性善説』『蝦蟇の油&マムシの執念』とパワーアップしてゆきました。

 

信用

時が経ち、コズミックランドの初期からの生徒であった僕が、そこにいる集団がどこの誰かもわからなくなるくらいコピー会員が増えたころ、それは起きました。

ある冬の土曜。教室は無い日です。
コズミックランドの近くに、セガマークⅢを持っていた先輩の家があり、その先輩に借りていたゲームを返却したその足でコズミックランドに寄りました。
誰もおらず、先生も不在でしたが、勝手知ったるなんとやら「すぐに戻ってくるだろう」と、いつものようにゲームをして待つことに。

10分ほどが過ぎた頃、I先生が戻りました。僕が「お邪魔してます」と言うと、すぐに「雪がひどくなってきたから早く帰るんだよ」と、やんわり帰宅をうながされます。

一旦は奥に入っていった先生が教室に戻り、数百タイトルになっていたコピーゲームの引き出しを開けるとこう言いました‥‥

「あれ?…ないなぁ」
「まただ、ないなぁ」
「‥20本くらいない」

パソコンでゲームをしていた僕が、背中を向けたまま「先生、何がないんですか?」と訊くと

I「ゲームのディスクがない」
僕「えっ!?本当ですか?」
I「えー?いつ?誰だろう‥?」
僕「ひでぇ!会員の誰かですかね?」
I「・・・」

いつもニコニコしているI先生でしたが、この時は見たことがないほどムッとしていました。
僕はその空気に耐えられず「すみません、ありがとうございました。帰ります」
と、先輩への返却を終えたペラペラのカバンを手にコズミックランドを出ました。

I先生の言う通り、外は大粒の雪が深々と降っていました。時間は17時くらいでしたが、冬は16時にはもう薄暗いので、空は真っ黒です。

後味の悪さを感じつつ、1分ほど歩いた時に。ふと「あ、きっと疑われてた!」「だから口に出したんだ!」と思うと同時に、手に持ったカバンがさらに疑惑を強めたと確信しました。

「どうしよう、今から戻ってカバンを見せようか」「けど見せたところで中身を捨ててきたと思われるだけだ」「その方が逆に怪しい」そんな思考がぐるぐると廻りました。

至った結論は『このまま帰る』
自分的には、これまで教室で悪さをしたことは無いし、もう数年のお付き合いです。悪く思われていない自信があるし、なによりコピー会員である僕が、盗みを働く理由がありません。

家についても、食事をしていても、何日か経ってもその事が頭を離れません。
そして次に行った時にも、何となくギクシャクした雰囲気でした‥‥。

 

何故あの時、帰る前に「僕じゃ無いっスからねw」とカバンを開かなかったのか…。
それを見たらI先生も「いやいや、コケ君は疑ってないからw」となったのに。

何だか考えれば考えるほど、ただただ悲しくなってしまい、次第に足が遠のきました。
そして、行かなくなった事実がさらに「やっぱりコケが盗ったんじゃ?」と思われていると考えました。そして実際そうだった気がしています。被害妄想でしょうか?

 

尊敬と軽蔑

I先生を本当に尊敬していたんです。ゲームを作る人間になって、里帰りの度に顔を見せに行って「先生のおかげです」って言いたかったんです。大好きだったので。

けど、この件のせいと言うわけではありませんが、ずーっとコンピュータ系の学校に進みたかったのですが、全然違うジャンルの専門学校へ行きました。

あ、これで「人生が狂った」なんて事は1ミリも思っていませんよ?
全ての事は自分が選択した事ですから。

ただ、大人になって自分に子供ができて思う事は、
あの時、もし僕が犯人でも「あれ?無い」と言う必要があったのか?。もしポロっと口に出しても、その場でフォローがあっても良かったのでは?という事です。

事実、犯人ではない僕が「疑われてる」事と、大好きだった場所を離れざるをえなかったのですから‥。本当に悲しかった、そしてガッカリしました。

教室に行けなくなった事と、尊敬していた先生の人間性にです。

ただ、当時の先生の年齢は今の僕よりもずっと若かったので、今なら「しょうがないか」と思います。多分30歳くらいだったので、まだまだ未熟な年齢ですよね。尊敬していただけに完璧を求めてしまっていたのでしょう。

 

ただ、良い事も少しあります。

息子を感情的に叱ってしまうことがありますが、「肝心なところだけは信じてやらなければ」「間違ってはいけない」と心がけています。
30年前に疑われた事が、今も苦い思い出として忘れられないことを身をもって知ってるので、同じ気持ちになって欲しくないですからね。(あれ?これって自分の為なのかな?^^;)

「あんな完璧に思えたI先生でも、時に間違う」

元来、僕は自分を責めすぎる帰来があるので、先生のくれた失敗(?)は適度に自分を許す薬になってくれているような、いないような。

とにかく、友人にも話した事がなかった苦いエピソードを、懐かしいく思いながらブログのネタにするくらいには薄まったということですね。

狭い町ですから「いつかバッタリ会うかも」なんて考えた時もありましたが、期待よりかは不安からですね。尊敬はしていましたが、今さら会ったところで話す話題も無いし、愉快な気持ちにはならないでしょうから。

専門学校・就職でしばらく地元を離れたので、その後コズミックワールドがどうなったのかはわかりません。そこを知る古い友人に会った時も、あえて訊かなかった気がします。

もし「商売に失敗した」と聞いた時に、自分の反応にガッカリしたくなかったから‥‥。

 

なんだか大きなオチもありませんが終わりです。

 

あぁ、暗い話をしてしまった。
こんなしょーもない話を読んでくださり、ありがとうございました。
これに懲りずに、またいらしてくれたら嬉しいです。

コメント

  1. おひ☆ より:

    おはようございますー。

    >なにはともあれ連休です
    しかし、もう3日目。
    後、6日しか残ってない(ネガティブ思考)。
    今朝は9時間睡眠してみました!
    寝過ぎてしんどい!(^^;)

    >カッコいい鉄郎
    カッコ悪い鉄郎だと、映画として盛り上がらないから?
    何か迫力に欠けそう。

    >switch
    据え置き系は、本当に触らなくなりましたねえ。
    最初の起動時間が待てないからかも!
    ファミコンの頃はよかったなあ。

    >セガはマッドマックス
    いい表現ですね!
    濃い固定ファンが多そうです!

    >コアランド
    あれ!?
    バンプレストの旧社名でしたか!?
    何か覚えてないなあ。
    バンプレストは、キャラものばかりを出していたので
    あまり好きではなかったのですが。

    >G-LOCは好きで結構プレイしていたので
    そうなんですね!
    実は未プレイです。
    何か迫力がなさそうだったのと
    難しそう(こっちが一番の理由)なので。
    50円とかだったら、やってたんでしょうけども…

    • コケガエル より:

      おひ☆さん、おはようございます。

      >しかし、もう3日目
      僕の連休はあと4日。よよよ。
      昨日は友人とちょっと飲んで、今朝はいつも通り5時に犬の散歩。気持ちいい~

      >カッコいい鉄郎
      観客動員数も違ってくるんでしょうかね?
      だからといって「これ誰!?」ってくらいキャラを変えなくても^^;

      >据え置き系は、本当に触らなくなりましたねえ。
      最初の起動時間が待てないのは間違いなくありますね。ほんとそれ。

      >バンプレストの旧社名でしたか!?
      バンダイがコアランドと業務提携するときに、社名を変えたみたいですね。

      >バンプレストは、キャラものばかりを出していたのであまり好きではなかったのですが。
      当時のキャラものはヒドイ出来のものばかりでしたからね。
      僕らの年代ならば、割とネガな印象を持つ人は多いと思います。ええ、僕もそうです^^;

      >何か迫力がなさそうだったのと
      アフターバーナーに比べてスピード感も迫力もないですよねー
      割と遊んでいたはずなのに、印象と記憶がほとんど無いのは何故なのだろう^^;