スペースインベーダー(TAITO/1978)

スペースインベーダーは1978年に登場した。私が初めてプレイしたのは小学3年生、1980年だったと思う。

地元の小さなデパートの裏通りが歩行者天国になっていたのだが、なぜそうなっていたのか覚えいない。そこは、ヨーヨー釣りや氷で冷やされたソフトドリンク、そして焼き鳥など、まるでミニ縁日のような様相を呈していた。そして日差しを避ける為に設置されたイベント用のテントの下に、テーブル筐体が3台置かれフリープレイで解放されていた。憧れのスペースインベーダーだった。

 

インベーダーゲームを見たのはこれが初めてではない。年に一度は、近しい親戚(約17名)でホテルに集まる行事があったので、その時に兄や従妹がプレイするのを羨望の眼差しで見ていた。こぞってプレイする歳の離れた兄達の中に割って入ることは憚られた。従妹・兄弟の中で一番小さかった私は邪魔にされると思い、一緒にプレイしたい欲求を抑えていたのだ。

そして、いま憧れのインベーダーゲームが目の前に。しかしテーブル筐体の前には既に大人が座っている。大人はゲームに興味がある風でもなく、ただ腰を下ろせて日差しを避けられれば良かったのだ。「てめープレイしないならそこを退けろください」という顔でランニングのおっさんの顔をじっと見ると、「遊びたいのかい?」とその紳士は優しく席を譲ってくれた。

ひゃっほい!とばかりにテーブル筐体に飛びつき、何度もプレイ。近くにいたお兄さんが「あー」とか「惜しいー」とかフレンドリーに話しかけてくれる。人さらいでも子供の体に興味がある感じでも無い。次第に自分の歳に近い子供も集まってきて、ゲームに興味の無い大人たちをテントから追い出すことに成功。そこはもうゲームを愛す若人のワンダーランドだ。

遊んだ。何度も遊んだ。ゲームは勿論楽しい。けどその場でできた友達や、声をかけてくれたお兄さんたちと一緒にプレイしたことが、よだれが落ちるほど超絶に楽しかった。いま振り返ると、この経験が僕にとってゲームが本当に特別なものになった瞬間だったと思う。それはもう強烈に『ゲーム=至福の体験』と、私のちっぽけな脳ミソに焼き付いてしまったのだ。

これ以降、旅館・デパートなど、ゲームが設置してありそうな場所に行くと、もう落ち着かない。まあ落ち着かない。とにかく、いつでも!どこでも!何をしていても!ゲームを基準に考え、ゲームを基準に行動するゲーム人間になってしまった。これはもうゲーム怪人(好物100円玉)だ。

なってしまったものはしようがない。行くさ、この道!
と、当時の僕は思っていなかったと思うが、病的なほどの情熱をゲームに注いでいくことになります。

では、また次回。